おはようございます。三浦康志です。
グリーンニューディールの一環で世界各地に高速鉄道が導入されようとしています。
しかし、日本の東海道新幹線のように通勤電車並みの頻度と正確性をもって
高速鉄道を運行できるのはまだ日本だけのようです。
いつもご愛読いただきありがとうございます。
感謝
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日刊ライスレポート 2084
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【新幹線運転士資格取得の義務付け】
リクルートが2009年4月に発表した大学生の就職希望ランキングで
1位になったのは、JR東海でした。
有名だとはいえ、地味な地方企業という印象があるため意外な感じがしました。
しかし、その背景にある同社の新卒者に対しての教育育成制度を知るにおいて、
この人気の程に納得できました。
特に素晴らしいのは、大学・大学院卒の総合職社員にも、新人研修時に、
同社の主力事業である新幹線の運転士資格を取得させる研修を行うことです。
新幹線の運転士資格を取得するには、約1年間もの期間が必要です。
それだけでなく、車掌や駅員、駅の案内係といった地道な現場の仕事を
OJTで学ぶため、合計1年半もの長期に渡って研修が続くのです。
正式な部署に配属されるのは、その後になってからです。
新幹線運転士資格取得研修の意義を、同社の取締役人事部長、
巣山芳樹さんは以下のようにコメントしています。
「この期間はずっと『見習い』の立場で、仕事を通して会社の業績に貢献することはない。
研修にかかるコストも決して小さな額ではない。
しかし、鉄道会社である当社の生命線は、鉄道を安全に運行することである。
乗車中に当社がお預かりしているお客様の生命を脅かすことがあってはならない。
この基本をしっかりと身につけるために、鉄道の安全を支えている現場の社員たちの努力を、
いっしょに働きながら体感する。
さらに、お客様の安全に最終責任を負う運転士の資格を取得するために、
実車を運転する中で、『お客様の命は自分の手に託されている』
という緊張感を自ら味わうことが重要なのだ。
こうした経験は、管理職になってから積めるものではない。
若いうちに積んでおくことが必要だ。
現場で働く社員たちと親交を持ち、その業務内容を知っておくことは、
管理職になったときにも大いに役立つ。
将来にわたって得られるこうしたメリットは、研修のコストを大きく上回るのは間違いない。
(日経ビジネス2009年6月29日号)」
将来は、JR東海の幹部社員・役員は、全員が
新幹線を運転できる人たちで構成されるということです。
航空会社と比べれば、これがいかに特殊なことかがよくわかります。
航空会社の幹部のほとんどは、航空機の運転士資格を持っていないはずです。
どんな非常事態が起こっても線路が寸断されない限り、
東海道新幹線は動くと確信できます。
JR東海の前進である国鉄は、大卒総合職の幹部と
高卒一般職の現場社員との分け隔てが激しい組織でした。
それが激しい労働闘争や、赤字体質の原因であったと思います。
その体質には二度と戻るまいという決意が、この研修制度に反映しているとも思います。
〔最後まで読んでいただきありがとうございます。〕
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